平成21年度研究テーマ
■重点研究
| 研究題目 | : | 環境負荷低減と高機能化を実現する製造プロセス技術の開発 (都市エリア産学官連携促進事業発展型) |
| 担 当 者 | : | 尾畑成造、立石賢司、岩田芳幸、加藤弘二、水野正敏、横山久範 |
| 研究概要 | : | 本研究は、@湿式法による無機ナノ粒子の合成技術開発、A廃食器粉砕物を用いたエコ食器の製造技術開発、B軽量強化磁器の製造技術開発の環境技術と高機能化に関する研究を集中的に実施し、美濃焼産地が先駆的な環境負荷低減型産業へと移行する端緒とする。 @紫外線について日焼け止めやファンデーションなどの化粧品や紫外線カットフィルムなど反射及び吸収特性を持たせた材料は様々な分野で検討されている。これらの材料開発において、有害元素を使用しない原料の選定、反射及び吸収特性を制御するための材料設計、合成技術、安定化技術などが必要となる。本研究では紫外線吸収材料として酸化セリウムに着目し、水熱合成やゾルゲル法といった湿式合成により、紫外線による分解劣化や変質を抑制する紫外線遮蔽材料を検討する。また酸化セリウムが持つ酸素吸蔵溶出特性を利用して軽量磁器の作製も検討する。 A廃食器粉砕物を使用した素地について、廃食器粉砕物の配合量50%以上、焼結温度1,150℃以下、曲げ強度100MPaの素地を開発目標とする。また、開発する素地に適合した低熱膨張釉薬の開発を行い、素地との適合化を検討する。 B給食用食器などの新しい軽量強化磁器の製造技術の確立を目的に、素地や釉薬の開発を行い、気孔導入材による軽量化を図る。また、実用化のための実機成形機による生産性について検討する。 |
| 研究成果 | : | @塗布性向上のため、配向性の高いベーマイトに酸化セリウムを担持させた複合粒子を作製した。その結果、硝酸アルミニウム溶液と硝酸セリウム溶液を混合し200℃で4時間マイクロ波水熱合成することでベーマイト(〜1 m)に酸化セリウムナノ粒子(30nm)を担持させた複合粒子が得られ、その紫外線吸収特性は酸化セリウムを20wt%ほど添加した複合粒子で100%と同等の反射率を示した。また24時間通常水熱合成においても同様の結果を得た。さらにベーマイトのサイズアップを検討した結果、出発原料を検討することでナノサイズの酸化セリウムを担持させた数μmの板状粒子を作製できた。 さらに、酸化セリウムの酸素吸蔵放出特性に着目し、陶磁器素地に酸化セリウムを添加して軽量磁器の作製を検討した。その結果、酸化セリウムの分散方法を検討することで酸化セリウム0.7〜1%添加により、かさ密度2.0g/cm3の軽量磁器が作製できた。 A廃食器粉砕物を用いたエコ食器の製造技術開発 廃食器粉砕物50%配合のリサイクル素地2種を作製し、鋳込み成形した試験体において、焼結温度1150℃、曲げ強度129〜131MPaを達成した。また、ロクロ成形用の練土を用いて企業における成形性の評価を実施し、2種のリサイクル土の内、1種類については、内コテではローラーマシンで製造が可能であった。1150℃で使用可能な平均線熱膨張係数4.7〜5.5×10-6/Kの釉薬を作製した。施釉試験の結果、一部の素地では曲げ強度が維持されたが、強度低下や貫入発生した素地もあった。 B軽量強化磁器の製造技術開発 軽量強化磁器素地組成のインド長石をソーダ長石(中国ソーダ長石、ネフェリン)に変更して素地組成を検討した。ソーダ長石を使用した素地を企業で還元焼成を行ったところ、目標のかさ比重2.2、曲げ強度150MPaが得られた。熱膨張係数8.1×10-6/℃の釉薬を素地への施釉試験を行ったが、シバリングが発生した。 また、本研究で使用した軽量化方法を従来の陶磁器製品に応用した結果、従来食器に比べ約2割の軽量化が可能となり、軽量食器の実用化に成功した。 |
| 研究題目 | : | ナノ加工用機能性砥石の開発 (知的クラスター創成事業) |
| 担 当 者 | : | 倉知一正、横山久範、茨木靖浩、安達直己 |
| 研究概要 | : | 砥石中にナノサイズの粒子を均一分散させるため、母粒とナノ粒子の複合化方法を検討し、複合砥粒を開発する。通常、砥石はアルミナやダイヤモンドなどの砥粒と金属や樹脂などの接着剤を混合・成形することによって作製され、CFRPの加工用にはダイヤモンド砥粒が適している。しかし、ナノ粒子を通常方法で混合すると凝集体が分散できず、砥粒が偏った砥石となり、加工時の研削が安定しない。一方、ナノ粒子を製品中に均一に複合化させる方法として、大きめの粒子(母粒子)と複合化させる方法がある。本方法で作製した複合粒子は母粒子の表面にナノ粒子を複合化した複合粒子の作製が可能である。そこで、ナノサイズのダイヤモンド砥粒と遠心鋳造技術に利用するための金属粒子の複合化技術の取り組み、ナノサイズの砥粒が均一分散した砥石の作製を行う。また、岐阜県機械材料研究所が実施するCFRP加工用の小型砥石の作製について、砥石メーカーと共同で開発を行う。 |
| 研究成果 | : | 遠心鋳造用の金属粒子とナノダイヤの複合では、金属表面に複合化したナノダイヤが遠心鋳造時に母材金属への熱の伝導を妨害し、遠心鋳造がうまくいかないことがわかった。そこで、複合粒子表面に更に金属を複合することで溶融層を作る2回複合を検討した。その結果、母材をアルミとした場合、大きめのアルミ粒子(150〜300μm)のダイヤ複合粒子に小さなアルミ粒子(20μm)を複合することができた。銅についても同じような複合を試みたが、2回複合は無理であった。粒子形状や融点が原因ではないかと考える。 CFRP加工用小型砥石では、アルミナ砥粒にナノダイヤをメカノュージョンで複合化した砥粒を使用した。岐阜県機械材料研究所のジャイロ式CFRP加工機で穴開け実験を行った結果、ダイヤを複合化していないアルミナ砥粒だけの砥石では穴開け加工が可能であったが、ナノダイヤを複合化した砥石では砥石の強度が不足していて穴あけができなかった。この原因として、ダイヤを複合化することで砥粒の表面積が増え、砥石作製時に加える接着剤が不足したためではないかと考える。 |
| 研究題目 | : | チタン酸アルミニウムを用いたアルミニウム鋳造部材の開発 (知的クラスター創成事業) |
| 担 当 者 | : | 茨木靖浩、横山久範、安達直己 |
| 研究概要 | : | アルミニウムの鋳造プロセスにおいて、アルミニウム溶湯を運搬する部材には、非濡れ性と耐熱衝撃性が求められる。従来から鋳鉄やサイアロン、窒化珪素などを主体とした部材が用いられているが、寿命、コストや性能を同時に満足するものではなかった。本研究ではこれらの要求性能を満たすため、チタン酸アルミニウムを用いた鋳造部材の開発と検討する。本年度は、実際の鋳造現場に用いられているラドル形状の成形と焼成および大量生産を視野に入れたマイクロ波短時間焼成プロセスの開発を検討する。 |
| 研究成果 | : | 排泥鋳込みと圧力鋳込みの2種類の方法でラドルの成形を行った。排泥鋳込みにおいては肉厚品の成形が困難なだけでなく、脱型後の成形体にクラックが発生した。これに対し、圧力鋳込みでは良好な成形が可能となった。また、1500℃の焼成によりクラック等のないラドルの作製に成功した。 チタン酸アルミニウムにマイクロ波を照射したところ、自己の焼成温度である1500℃まで自己加熱が起こることを確認した。そこで、等温断熱壁を用いてルツボ形状のチタン酸アルミニウムについて急速焼成を検討した。その結果、電気炉よりも短時間で焼成できることを確認した。 |
■プロジェクト研究
| 研究題目 | : | 使い勝手の良い陶磁器製品の開発 (地場産業新展開ものづくりプロジェクト) |
| 担 当 者 | : | 伊藤正剛、小稲彩人、林亜希美、岩田靖三 |
| 研究概要 | : | 高齢化社会を迎える中、高齢者の感覚や身体特性を考慮した使い勝手の良い陶磁器製品の開発を目指し、今年度は、これまでの実験結果をもとに精度ある割れ誘導線を成形体に施すこと、そして、破損時の破片数を減らすことについて検討する。 |
| 研究成果 | : | 飯碗原型はCADソフトによりモデリングし、NC切削機を用いて作製することによって精度ある割れ誘導線を施すことができた。また、縦方向の割れ誘導線の本数を16本から12本とすることにより、破片数が大幅に減少した。 |
■地域密着研究
| 研究題目 | : | 多品種少量生産に適した加飾技術の実用化研究 |
| 担 当 者 | : | 横山貴広、小稲彩人 |
| 研究概要 | : | 陶磁器の筆絵付け工程における熟練技能者の高齢化・後継者不足を背景に、陶磁器筆加飾システムの開発を継続してきた。本年度は陶磁器製品への線引き工程に着目し、非熟練技能者でもロボットを用いて製品にフリーハンド線や均一線(幅が一定で斑がない)が引けるシステムの設計・製作を実施する。また、本システムを利用した試作品を完成させる。 |
| 研究成果 | : | ・任意の教示データから線の太さや長さを制御できるシステムを開発した。 ・陶磁器の回転方向と速度を制御することで、1つの教示データから線を模様とした趣向の異なる複数の製品を製作することができた。 ・線模様を中心とした試作品の製作を実施した。 |
| 研究題目 | : | マイクロ波による機能性セラミックス焼成技術の開発 |
| 担 当 者 | : | 安達 直己、立石賢司、伊藤 正剛、茨木 靖浩 |
| 研究概要 | : | マイクロ波焼成が可能な材料を探索・開発することによって、マイクロ波焼成炉の市場拡大を行うとともに、省エネルギーで短時間に焼成可能であるため低環境負荷型の焼成プロセスの確立を目指す。本年度は、昨年度作製した発熱壁を用いて、酸化チタンと酸化アルミニウムをモル比1:1で混合し成形したサンプルをマイクロ波を用いた反応焼成プロセスにより、チタン酸アルミニウム焼成体を作製することを目的とする。 |
| 研究成果 | : | Na2Oとして0.5wt%添加した酸化アルミニウムで作製した発熱壁を使用して、酸化チタンと酸化アルミニウムを混合したチタン酸アルミニウム焼成体を作製した。マイクロ波出力を1200℃到達まで2kWとし、その後1500℃まで3kWの出力で照射することによって、チタン酸アルミニウム焼成体を作製することができた。また、添加剤として酸化イットリウムを添加することで、焼成体は無添加と比較して緻密化した。 |
| 研究題目 | : | 機能性陶磁器釉薬の開発 |
| 担 当 者 | : | 尾畑成造、林亜希美 |
| 研究概要 | : | 汚れが付くメカニズムには2種類考えられ、釉特性による影響と使用による経年劣化による影響が考えられる。このうち釉特性による影響は釉表面の凹凸(結晶や溶融状態など)であり、経年劣化による影響は腐食(食器洗浄機などによるアルカリ腐食)や積み重ねなどによるキズが上げられる。そこで食器洗浄機等によるアルカリ腐食による影響を検討する。 |
| 研究成果 | : | 焼成温度が低い酸化焼成用釉薬では残存するシリカ粒子とガラス成分との界面を中心に腐食が起こり、凹凸が出来る。還元焼成用釉薬では焼成温度が高いためにシリカ粒子が溶融し、腐食が起こりにくい。使用する石英粒子についてより微粒を用いるか石英が溶融する焼成温度で焼成することにより耐アルカリ性は向上すると思われる。 |
| 研究題目 | : | 無鉛和・洋絵具の活用技術に関する研究 |
| 担 当 者 | : | 林亜希美、倉知一正、鶴見栄三、尾石友弘 |
| 研究概要 | : | 強化磁器食器の強度に関してはこれまで、これまで加飾を行っていない無地で行われてきた。しかし、実際の製品では多くの場合、加飾が行われている。本研究ではイングレーズ加飾が強化磁器食器の影響について検討を行う。 |
| 研究成果 | : | Yellow(1種), Green(3種), Blue(2種), Pink(4種)の10種類の色について、厚さを変化させて、加飾を行った。その結果、強度が低下する絵具と低下しない絵具があることが確認された。加飾層が厚い場合の方が強度低下が起こりやすいことが示唆された。 |
| 研究題目 | : | 陶磁器インテリア製品のブランド化研究 |
| 担 当 者 | : | 小稲彩人 |
| 研究概要 | : | 経済状況や生活の変化などにより、陶磁器の製造出荷額が減少している。そこで新たな花器、植木鉢市場への展開を考え、研究会を組織し、アイデア創出から製品化、展示会の開催までを行う。 |
| 研究成果 | : | 美濃焼の代表的な釉薬を用い、現代の住居空間で違和感なく使える高いインテリアを備え、所有することに付加価値を感じる花器や植木鉢を開発することができた。これらの成果は、2010年3月1日〜10日まで岐阜駅アクティブGアートギャラリーにて開催した展示会、「花器、植木鉢+α」展にて好評を得た。 |
| 研究題目 | : | 軽量化と耐熱性を向上させたコーディライト質匣鉢の開発 |
| 担 当 者 | : | 安達直己 |
| 研究概要 | : | タイルや飲食器等の陶磁器焼成時に使用されるコーディエライト質匣鉢の軽量化と耐熱衝撃性向上を目的にコーディエライトの改質、およびそのコーディエライトを使用した匣鉢の作製を行う。この技術の確立によって、焼成炉の熱負荷の軽減と急速焼成(短時間焼成)への対応が可能となり、エネルギー多消費型の陶磁器産業において焼成時の環境負荷低減に寄与することが期待できる。 |
| 研究成果 | : | コーディエライト質匣鉢の主成分であるコーディエライトの改質を検討し、微細な空孔を付与することによる軽量化(気孔率47%を達成)と内部に微亀裂を発生させることによる極低熱膨張化(熱膨張率0.01〜0.5x10-6 oC-1)に成功した。また、改質したコーディエライトを用いることで、従来の匣鉢と比較して15%の軽量化、50%の低熱膨張化、同等の強度を有した匣鉢を作製することができた。 |
| 研究題目 | : | 強化磁器食器の加飾による強度低下防止技術の研究 |
| 担 当 者 | : | 林亜希美、倉知一正、横山久範 |
| 研究概要 | : | 加飾を行った強化磁器食器では割れやすくなる場合があり、その強度低下の原因究明及び強度低下防止技術の検討を行う。特に赤系加飾による強度低下を原因究明し、加飾を施しても強度低下しない強化磁器食器の開発を行う。 |
| 研究成果 | : | 種々の赤系顔料と熱膨張係数の異なるフリットを混合して作製した絵具を用いて強化磁器食器に線引きし、加飾した強化磁器食器の曲げ強度を測定した。その結果、フリットのみを線引きした場合には強度には影響がないが、、顔料と混合した場合には、熱膨張係数の大きなフリットを用いると強度低下が起きることがわかった。 |
| 研究題目 | : | 陶磁器のセルフグレーズ技術の開発 |
| 担 当 者 | : | 林亜希美、横山久範 |
| 研究概要 | : | 従来の陶磁器は表面に釉薬層を形成し、衛生面の向上や加飾を施している。しかし、釉薬層の形成には素焼と本焼の2度焼成を行う必要があり、CO2排出などの環境負荷が課題となっている。その課題の解決方法の一つとしてセルフグレーズによる焼成工程の短縮化について検討する。 |
| 研究成果 | : | 廃ガラス粉体を含む素地を調合・成形し、1度焼成によるセルフグレーズについて検討した。その結果、ガラス粉体や焼成温度が増大するほど溶融し易くなるが、焼成幅が狭くなることがわかった。 |
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